芸術家 小沢一郎

 小沢さんのプライドとしては、頑なに地位にしがみついた方がよほど素直だった。
 あの事件、検察は負ける。
 小沢氏側に法的な過ちがあったとは認められない。
 時間を掛ければ、いずれ小沢氏の潔白を証明できるだろう。
 でもそれじゃ遅すぎる。衆院選まで半年ない。

 小沢氏が留任してると、政権交代の実現がかなり危ういことになる。
 事件後も小沢氏を支持する声は小さくないけど、支持を翻した人も多い。
 野党支持の分裂だ。

 選挙において、「票が割れる」ことほど恐ろしいことはない。
 例えばA党支持者が50%を占める地域があるとする。
 普通に選挙すれば、その地区ではA党が楽勝だ。
 ところが、A党が選挙で候補者を絞り込めず、二人がA党から立候補したとする。
 ここでA党支持者の票が半々に割れると、例えば30%の支持しか得ていないB党の候補者が当選してしまう。

 今の自公政権の評価はどん底で、よもや政権維持とは考えにくい。
 けれど、今の民主が割れた状態で選挙に突入すると、民主敗北の目が大きくなってしまう。

 小沢氏の目的は自分が総理になることでも、利権を吸うことでもなく、「政権交代」だ。
 小沢氏は囲碁の達人なんだよね。
 将棋は、王の取り合いで勝敗を決める。
 この政局が将棋だったら、小沢氏は負けた。
 でも、囲碁は「盤を制する方が勝ち。
 小沢氏は、自分という王将を切って、盤を取りに行った。

 人って、他人の自己犠牲とか正義感をあんまり信じない。
 人はみな損得で動いてると考えてる。
 ま、それは事実なんだけど、「損得」のレベルって人によって全く違う。
 「自分の所得が増えることが得」というのはすぐ分かる。
 でも「日本の国が良くなって国民が幸せになったら得」といっても、

「奇麗事言いやがって。」
「裏で何やってることやら(笑)」

と嘲笑される。
「日本の国が良くなったら私は幸せ」という感覚が理解できないから、自分が理解できるレベルに落としてるわけだ。
 この手の誤解…良かれと選んだことが理解してもらえず、利己的だと真逆の解釈をされる経験…は、おそらく誰しも持ってるだろう。


 例えば画家がさ
「自分が素晴らしいと思える絵を作り出したい。」
 こういう感覚は理解できるだろ?
 自分が好きなものを自分で作り、さらにそれが世に認められるならこれ以上の「得」はない。少なくとも私はそういう感覚を持ってるつもりだ。

 確かに、画家だって自分の絵を売って身銭を稼ぐ必要がある。でも、稼ぎたいんだったら勉強して大会社のリーマンなり起業なりした方がよほど楽で確実。

 小沢氏の辞任を「逃げた」と捉えられるのも、単純な損得勘定で考えると小沢氏が保身を優先したからと思えるからだ。
 でも前の日記で述べたように、小沢氏が単純に保身や権力に拘るなら、そもそも自民を割って出た説明がつかない。 自民在籍当時の小沢氏は、総理に最も近い男だったんだ。


 小沢辞任の報道で、私は落胆した。
 でもこの辞任は、小沢氏が「日本が良くなることが得」
 そういう価値観で動ける人間であることを私に見せ付けてくれた。

 …。


 泣ける。


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